5月24日から28日まで韓国ソウルで開催された、アジア最大のマンガとアニメの映画祭
“SICAF2006”(ソウルインターナショナル カートゥーン&アニメーションフェスティバル)。1995年に始まった映画祭は今年で10回目を迎えます。
アニメ映画祭としては、フランスのアヌシー映画祭が有名ですが、ソウル市庁や文化観光省のサポートを受け、国をあげてのイベントとしてアジアで最大、今やアヌシーに次ぐ規模になりつつあります。
今回も、世界54ヶ国以上から計1204本の作品が出品され、部門も長編映画部門、短編映画部門、テレビ映画部門、委託映画部門、インターネットアニメーション部門他、多岐に渡りました。
今回「NITABOH」は長編映画のコンペティション部門の最終5作品にノミネートされ、28日の表彰式で、“グランプリ”を受賞しました。SICAFのキャラクターをデザインしたトロフィーと賞金10,000,000ウォン(120万円ほど)を獲得しました。
映画祭の様子をレポートします。
SICAF2006は“アニメ映画祭”、“エキシビション”、“マーケット”の3つの部門で構成されています。映画祭はソウルの竜山(ヨンサン)駅に隣接する、大きなシネコンで。
エキシビションとマーケットは漢江をはさんで反対側のソウル貿易センターで開かれました。
★24日の開会式にはソウル市長もメッセージ。
その後もソウル市あげてのイベントの様子で、シネコンでは10ヶあるスクリーンの3つを借り切って、期間中194本すべての作品の上映が行われたのです。
★「NITABOH」は25日と27日に上映。
25日には各国の審査員が鑑賞、27日は一般の上映となりました。
27日は午後から雨が降ったりやんだり、時折激しく降ることもあったのですが、21時からの上映時には、満席の状態。チケットも完売でした。
まずは監督の舞台挨拶から~
韓国語で、日本から「NITABOH」の監督が来ていると紹介されると、「オーッ」と歓声があがり、拍手も…。
映画にこめたメッセージや見どころ、制作に苦労した場面などが語られました。
映画上映中にも、面白い場面では観客の笑い声、韓国の人も同じようなところで笑うんだな~と身近な気持ちになったりしました。
映画が終わると同時に拍手が鳴り止まず、エンディング曲が終わると同時に、また拍手、最後のナレーションが終わっても拍手で、3回の拍手をいただいたのは初めてのこと、驚きました。
終わってから監督への質問タイムを設けたのですが、たくさんの若者が次々に手をあげて、質問攻めの状態。
「なぜ監督は日本の古典楽器をモチーフにしようと思ったのですか」とか、
「150年前の出来事ということですが、映画に使われている曲も昔の曲ですか?」
「韓国のアニメーターも参加しているが、制作過程で問題はなかったですか?」
など、本質をつく質問が続きました。
質問終了後は、サイン会状態…。
スクリーンから場所を変えて、ベンチにすわってのサイン会になったのです。夜も11時を過ぎているのに、みな熱心に質問やサインをもとめて、監督について歩いていく。
韓国の若者の熱心さに、こちらも感動を覚えました。
★28日最終日---18時から表彰式が行われました。
今回「NITABOH」がノミネートされただけでも、第1回作品にはうれしいプレゼント。
勝負は時の運です。審査員の方々が、どこを観てくださるか、どう判断してくださるか、私たちは自分の作品を信じるだけです。
表彰は短編映画やインターネット映画から始まり、いよいよ最後の長編映画部門のグランプリ発表へ。
その時、韓国語(後に英語の通訳)で、グランプリ!と呼び上げられたのは、“監督 西澤昭男”“「NITABOH」”だったのです。
監督が舞台にあがると同時に、拍手とフラッシュで会場は盛り上がり、私たち参加メンバーも“やったー!”と声をあげたのでした。
長編部門ノミネートの他4作品は以下のとおりです。
「イミグランツ」が特別賞を受賞しました。
●「鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」(2005) 水島精二監督【日本】
●「イミグランツ」(2005) ゲイバー・チューポ監督【米・韓】
●「ファイヤーボール」(2004) ワン・トゥーン監督【台湾】
●「ペッツォンとフィンダス-ザ・トムテ・マシーン」(2005) ジョーゲン・ラーダムとアンダース・ソレンセン監【独・デンマーク・スウェーデン】
★記者の感想★
「NITABOH」は今までに多くの映画祭で招待上映されてきました。映画祭には2通りあります。
ひとつは、ある期間いい映画を集めて上映会を開くもの。
もうひとつは出品された作品から、コンペティション(賞を競う)で、グランプリを決めるもの。
今回のソウルアニメ映画祭は、後者の方で、表彰式後のレセプションでは、たくさんの方からお祝いの言葉をいただきました。
中国の審査員や、韓国の審査員の方からは、「素晴らしかった」「観終って、すぐにこれだ、と1票入れました」と。
審査員一同、「NITABOH」で、決まったとの言葉も。
「この映画のどこがすばらしかったのですか?」
とたずねたところ、
「とにかく感動しました、物語も音楽もすばらしい」と。
アニメ映画では、“すばらしい”とか“かわいい”、“おもしろかった”といった形容詞はよく聞きます。が、ひとこと“感動しました”という形容詞で評価してもらったことが、なによりうれしいことです。
ワオコーポレーションがめざす、エンターテインメントを超える“エデュテインメント”が海外の人にも理解してもらえたのだと、確信した瞬間でした。
リヨン-アジア映画祭は、アジアの映画と文化にまつわる重要なイベントとして発展。 マスコミ50社が駆けつけ、観客もフランス国内から集まり、高く評価されています。 11回目を迎えた今年は、アジア各国から60以上もの映画作品が紹介されました。 「NITABOH」は、『観客によるベストアニメ賞』の第1位に選ばれました。
戻るReel 2 Real 映画祭(正式名称 REEL 2 REAL INTERNATIONAL FILM FESTIVAL FOR YOUTH)は、「子どもたちに世界の良い映画をみせよう」という趣旨で、1999年から始まったもので、今年で7回目を迎えます。映画祭には大きく分けて、「専門家が選ぶベストピクチャー賞」と「子ども達が審査員になって選ぶベストピクチャー賞」の2つの部門があり、今回「NITAOBOH」は、「9歳~12歳までの子どもが選ぶベストピクチャー賞」に輝きました。
戻る今年で8年目を迎える、シネマニラ国際映画祭。
国内でなかなか紹介されにくい作品や、フィリピン国内で制作された作品から諸外国の作品までを上映し、世界で高く評価されています。
本年は11月3日~15日の日程で、マニラ市内の会場にて開催されます。
長編、短編、ドキュメンタリー映画部門では各賞獲得を競うコンペティションが開かれ、それと平行し、招待上映、マラソン上映、協議会、スペシャルイベントなどが行われます。広くアジア、ヨーロッパ、北米から、監督、プロデューサー、評論家、俳優たちがフィルムイベントに招待されています。
今回、『NITABOH』は「チルドレン&ユース」カテゴリーで、招待上映されることが決定しました。
第4回台湾国際アニメーションフェスティバル(2006年9月1日~10日 台湾/台北)で、「NITABOH」が公式招待上映されました。
戻る釜山国際子ども映画祭は、今まで10月に行われている“釜山国際映画祭” と一緒に開催されていましたが、子どもたちにたくさん参加してほしいという、 プロデューサーの意向で、今年から夏休み期間中に開催されることとなりました。
会場となった釜山の海雲台(ヘウンデ)は、海岸沿いのビーチが有名で、 夏は韓国中からたくさんの人が海水浴に訪れ、街は大賑わい。
そんな中で行われた子ども映画祭は、海雲台にあるシネコンのメガボックスを借りて 開催されました。
釜山国際子ども映画祭はコンペティションのないもので、「NITABOH」は招待上映の形での上映でした。今回は実写映画とアニメ映画の両方が上映されましたが、特に韓国ではアニメというと小さな子どもが対象になります。
そのため、お母さんと一緒に観に来ている子どもが多く、「NITABOH」ではお母さんが涙する姿が多く見られました。
終わってからはサインを求める子どもとお母さん、また、アニメや映画に関係している 大学生が監督を囲みます。
お母さんは、「感動で、涙が止まりませんでした」と監督と言葉を交わしました。
第1回香港国際アニメーション映画祭(2006年7月28日~8月1日 中国/香港)で、「NITABOH」が公式招待上映されました。
戻る
「NITABHO」公式招待 4月15日上映されました
今年で第19回目を迎える「シンガポール国際映画祭」が4月13日~4月29日の期間、開催されました。同映画祭は、優れた映画や新しいタイプの映画を積極的に公開することから、世界の評論家から高く評価されている文化イベントです。45カ国の約300作品が上映され、シンガポールはもちろん、お隣マレーシアからも映画好きが集まってきます。
今年は特にアラブ映画が注目され、オープニング映画としてレバノン映画が上映されました。私たち日本人にとっては慣れないストーリー展開でも、そこに映し出される異国の風景・人間模様などを味わえるのが国際映画祭の醍醐味です。
「NITABOH」の公式上映は、4月15日土曜日午後から。シンガポールは、約24,000人もの日本人が暮らし、「東京24区」の異名を持っています。日本人が大勢来るのでは?と予想していたのですが、多くのシンガポーリアン、特に10代20代の若者が続々と会場へ。日本人とシンガポーリアンの比率はおよそ1:1、上映会場は今映画祭で一番大きな会場でしたが、500席が観衆でほぼ満席になる中、監督の舞台挨拶が始まりました。
「NITABOH」は、今、日本の若者の間で流行の、津軽三味線の叩き奏法を生み出した、仁太坊をテーマにした映画で、多くのハンデや、過酷な運命を乗り越えた彼の生き様が描かれていること、我々が30年教育に携わる中、今の日本の子どもが物質的にはとても恵まれているが、何か大切なものを忘れているのではないかとの思いがあること、アニメをとおして子どもたちに忘れている大事なことを伝えていきたいと考えていることが話されました。他にも、映画の見どころ(三味線演奏をアニメにするのに大変苦労したこと、CGが使われているシーンや、ワルシャワフィルで録音した音楽のこと)などが語られました。
シンガポーリアンは映画を観るとき、日本人以上によく笑い、よく感動します。仁太坊がユキに着物を脱がされるシーンや、留吉が仁太坊の鍋をのぞきこんで「うまそうなめしだな」というシーンでは大笑い。また仁太坊とユキの別れのシーンでは会場からすすり泣く声も聞こえました。最後の仁太坊と田原坊の三味線バトルのシーンでは、皆、圧巻の三味線演奏に心を奪われていました。
映画終了後、国籍問わず満足そうに会場を出て行く観客の表情を見て我々スタッフも一安心。シンガポールの若者からは「ナイスフィルム!」「インスパイアリング!」「ワンダフル!」との声が。日本人からは「最後の三味線で鳥肌が立った」などいろいろな感想をいただきました。ちょうど日本では桜の季節なので、長期在住の日本の方からは「桜がきれいだった」と懐かしむ感想も。また、青森出身の方は帰り際に「自分の過ごした青森の風景がそのまま描かれていました」と声をかけてくださいました。終了後は、監督にサインを求めるシンガポールの若者でいっぱいになり、自然に長蛇の列となりました。
津軽三味線という、100%日本をテーマにした作品ですが、人種や国境を越えて感動してもらったことに監督を含む我々も感動した映画祭でした。
公式招待上映
同フェスティバルは、アニメーション映画をはじめ、映像の特殊効果技術やビデオゲームなど最新テクノロジーに関する、イタリア国内で最高峰のイベントです。 毎年著名な監督やアートディレクターたちが新作を引っ提げて集い、7回目となった2005年では5日間で3万人が来場、440作品が紹介されました。 「NITABOH」は、第8回の映画祭部門で世界から集う優秀な作品とともに公式招待上映されます。
監督招待及び公式招待上映
本映画祭は、子どもたちが楽しめ、教育にも役立つ映画の普及を目的としています。
現代の若者を取り巻く問題を取り上げ、芸術性・人間性を高める上品で良質な作品を、
世界中から選び紹介します。
「NITABOH」は「アジア・パノラマ部門」にて、アジアおよびアジア太平洋地域で製作された長編優秀作品として選ばれました。西澤監督に公式参加要請が寄せられ、公式招待上映が決定しています。
監督招待及び公式招待上映
最新の音楽プロモーション映像が紹介されます。競争を目的としない映画祭なので、正式招待上映されること自体が価値のあることとなります。
NITABOHについては、MOFFOMから公式に監督招待状をいただき、公式上映は、絶賛大好評で迎えられました。
『NITABOH 仁太坊―津軽三味線始祖外聞』が中国中央電視台(CCTV)で放送されます。初回は2011年12月10日(土)10:30頃からで、契約期間の3年半で数回の放送が予定されています。ここ数年、中国が購入する日本の作品は大変少ないですが、今回中国中央電視台6チャンネルが『NITABOH』を購入しました。
戻る