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NITABOHトップページ / メイキング / Yaeさんレコーディング

映画が終って、その余韻の中で流れるのがエンディング曲。
今回は、西澤監督自ら作詞を手がけている。仁太郎が生きた人生をもとに、メッセージ性の強い歌詞につくりあげたが、そのためどうしてもことばが長くなり、メロディーに対してやや字余りになってしまう。唱うのに相当の歌唱力が必要だ。
一度はメロディーを優先し、もう少し簡単な歌詞につくり直してみたが、そうするとサラリとしすぎて、仁太郎の人生と重ならない。
そんな時、Yaeさんから「もとの歌詞で唱いたい」との申し出をもらい、難しい歌への挑戦となった。さらに最後の一行“きっと意味があると信じたい”は、Yaeさん自らつけ加えてくれたフレーズだ。
エンディング曲から吹きこみが始まる。
ガラスの向こうで唱うYaeさんと、言葉を交わしながら、音楽監督のクリヤ氏(この曲の作曲者でもある)は、ミキシング担当の上畑氏と、「そこのシンバルの音をもっと下げてみてくれる――。」などと、ひとつひとつの楽器の音のバランスを調整していく。
クリヤ氏が最終的にイメージする“音”へ、いろんな角度からの微妙な調整が同時進行していく。
一旦、レコーディング室から出てきたYaeさん、今録音した自分の歌を聞いて、
「この部分は、1回目の方がいいわね」「ここ、少しふくらましましょうか」と、マネージャーの和田氏やクリヤ氏と細かい打ち合わせに入る。同じ歌でも、それは人の声、微妙に『1回目の方が力がぬけていてよかったかな〜』との判断もあるようだ。テストと本番2回のトライで、すべてが順調に進んだ。
Yaeさんは、加藤登紀子さんのお嬢さん。
お母様ゆずりの天性の歌声に、Yaeさんの個性が加わって、それはそれはとっても魅力的な声の持ち主だ。
エンディング曲は、同じメロディーが続くのだが、聞いていて飽きない。のびやかな部分とスーッと引いていくような部分、2つの微妙なバランスが特徴で、聞いていて“何度もその声を聞きたい”と思ってしまう。本番が始まったとたん、皆、ドキッとして、うっとりとしてしまった。
主人公、仁太郎が、吹雪の中、三味線を弾きながら民家を回り、※門付け(かどづけ)をして歩く場面。
戸も開けてもらえず、世の中の厳しさを身をもって知ることになる。父を亡くしてすぐのことだ。そこに流れる挿入歌。辛(つら)い日々なのに、自分の道を求めて、人生の基礎をつくっていこうと努力する仁太郎を、Yaeさんの歌が盛り上げていく。挿入歌の歌詞は、1番が“自分の道を自分で切り開いていく。映画のテーマのひとつ自燈明”をモチーフに、2番が“生まれて間もなく亡くなった母への想い”をモチーフにつくられている。
場面を思い浮かべると、思わず胸がつまってしまうのだが、この曲のタイトルがまだ決まっていない。監督の「自分の道ということばが何度も出てくるからいっそ『自分の道』にしようか」との声に、どこからか「何か、それだと演歌っぽくないですか?」(笑)「じゃ『生きる力』なんてのはどう?」「それって、 なんか国体的 というか、甲子園球児のイメージですよね」(笑)と、とっても和気あいあいとした 雰囲気で作業は進んでいく。
さて、この2曲、どちらもハ長調なので、2、3回聞けば、小学生でもすぐに口づさめる。
村上プロデューサーのお子さんも、もうすでにピアノで弾いているという。唱いやすいテーマ曲!
さすがクリヤ氏の作曲だ。次の作業は、今レコーディングした曲にYaeさん自身の声で、高音部と低音部のハーモニーを加えていく
。ここまでも順調に進んで――。
今日スタジオに入ってくるなり、クリヤ氏
「ちょっとひらめいて、コーラスを加えようと思います」と、みんなの前で譜面を書き出した。
「昨日、アイディアがふくらんでしまって」
そう、急きょ、バックコーラスを加えることになった。
「どうも、今朝、ひらめいた感じですよ」と、村上プロデューサーも、初めて聞いた様子でコーラスメンバーを待つことになる。
グリニスとダニエル。2人は歌手、平井堅氏のツアーにも同行し、活躍する実力者で、クリヤ氏の突然の依頼を快く引き受けてくれた。
つい先程、コピーした譜面を渡し、15分程の打ち合わせの後、レコーディング室へ。カメラに向ってピースサインでポーズをとる、とっても陽気な2人。
いざ始まると、表情も一変するが、Yaeさんも特別にバックコーラスに参加してくれて、テストから本番へ、少しずつの修正を加えながら進んでいく。
21:00、すべてが終了。Yaeさんの歌声にクリヤ氏のアイディアと素晴らしい飛び入りで、2つの曲に、さらなるふくらみが出て、監督も納得の曲に仕上がった。
映画の主題歌としてのヒットも夢じゃない。
※ 門付け(かどづけ):民家の門の前で、三味線や尺八などの演奏や芸をして、そのお礼にお米やお金をもらうこと。
 
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